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独身の場合


財産が消失したり、価値あるものが処分されたりしてしまうかも。


 独身貴族とは良く言いますが、ひとり者でも多少なりとも財産はあるかと思います。

 通帳が残されているなら何とか把握もできますが、
 通帳などがないネット銀行やネット証券、
 海外の金融機関の口座を複数お持ちの方も珍しくありません。
 密かに購入した不動産もあるかもしれません。

 逆に、秘密にしている債務(借金)もあるかもしれません。

 このような財産は、
 遺言書などの方法で残された家族が把握できるようにしておかなくては大変です。

 財産の存在が把握できなかった場合、
 金融口座は年数が経過すると、残高があっても消滅してしまいます。
 不動産はその存在を知られないまま、
 第三者が勝手に長期間占拠して所有権を主張するかもしれません。

 債務(借金)を隠している場合も問題です。
 財産よりも債務の方が多い場合、遺族は相続権の放棄を選ぶことができますが、
 これは3カ月以内に手続きをしなくてはなりません。

 3カ月過ぎるのを待っていた借金取りが、
 後日次々に押しかけてきたなどという話はよく聞きます。

 借りてる金額がわからず、言われるがままの金額を渡したとか、
 約束だからと自動車を持っていかれたとか、
 稼いでいるようだったので、まさか事業による多額の債務があるなどとは考えられず、
 時間切れで相続放棄できずに家を失ったとか、
 事実を教えてもらえなかったために、遺族が散々な目に遭う話もよく耳にします。

 遺言書で借金の存在や内容がわかっていれば、
 遺族の負担や心配を軽減することができます。

 金銭的なものばかりではありません。
 絵画や骨董、コレクション、本や玩具だってプレミアものはどこにでもあります。
 これらの価値は、その本人と専門家にしか わからないことが多いのです。

 他の家族はその価値を知らず、ゴミとして廃棄してしまうのが一般的です。

 遺言書で指示や説明、遺贈があれば、
 これらのものを現金に換えたり、価値のわかる方に譲ることができます。


 若いから、財産がないから遺言書は不要だということはありません。

 自分の価値観、意思や実績を残すためには、遺言書は有効な手段となります。

 残された者に、迷惑や心配をかけないようにするためにも役立ちます。


 相続内容の一切入らない遺言書も作れます。
 自分の生きてきた証として、最後のことばを残すこともできます。

 もしもの事は、絶対に起きないこととは言い切れません。
 急病だけではありません。
 事故や災害は、年齢や地域に関係なく、
 いつ自分の身に降りかかって来ても、おかしくはありません。
 「まさか」「もしも」に備えて、遺言書を準備しておきましょう。


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